パキ綿
本日もおねがいします!押忍!
ヴィンテージ古着をコピーライター視点で楽しむために、
古着のディテールに付けられたネーミングから
その魅力を紐解いていく誰得コラム。
今日は、
声に出して読みたくなるディテール名、
「パキ綿」です。
いいですね、パキ綿。
何度でも言いたいですね、
パキ綿パキ綿パキ綿。
読んで字のごとく、
パキスタン製のコットンを100%使用しているTシャツ
のことを指します。
1970〜1980年代ごろの、
バンドTシャツに使われているものですね。
界隈ではそこそこな高値で取引されている
「パキ綿」のTシャツですが、
決して “モノが良い” 訳ではないところがおもしろい。
もちろん、
古着としての魅力はたっぷりなんですが、
「品質が良い」訳ではない(のに高い)
ということなんですね。
というか、
そもそもニセモノなんです、
「パキ綿」のバンTは。
レコードでいう海賊版みたいなもので、
バンドのオフィシャルTシャツが
買えない人向けに売られていたもの。
当時はライブ会場の外でひっそりと、
やっすい値段で売られていたらしいです。
そんなTシャツなので、
まぁ生地も薄いわ、すぐ伸びるわ、
肝心のプリントはズレているわ、な
言ってしまえば粗悪品。
でもそれゆえに、
ダラッとしたゆる〜い雰囲気を纏っていて、
「いやいや今見ると逆にカッコよくない?」
という現象が起きている訳です。
そこに「パキ綿」という名前を当てるのが
なかなか巧妙と言うか卑怯ですね。
魚沼産コシヒカリとか、
気仙沼ニットみたいに、
“生産地を掲げると良いものに見える” の法則。
「パキスタン製のコットンなんですよ〜」
「このコットンにしか出せない味なんです〜」
とか言われたら、
なんだかスゴいものに見えてくる・・・と言う魔法です。
うまい!ズルい!一本!
ちなみに「パキ綿」は人気になりすぎて、
風合いだけ再現して「パキ綿」を謳う
「ニセパキ綿」も出てきているので要注意です。
ニセモノのニセモノが作られるという
なんとも滑稽な状況ですが、
バカにはできません。
今から50年後には、「ニセパキ綿」も
プレミア価格で売られているかもしれませんから・・・。
はい、ということで1週間、
好き勝手古着の話をさせてもらっちゃいまして、
すみませんでした。
もし、一人でも
「ヴィンテージ古着って面白そうじゃん!」
と思ってくれた方がいたなら、
このコラムは大成功。
そんな方一人もいなくても、
全然楽しかったので大成功。
なんとも俺得な1週間でした。
ありがとうございました。
来週のコラムは、
新人賞同期かつ、家が近所の
原田堅介さんにお願いしました。
今年の最高新人賞受賞者による最高コラム、
ご期待ください。
原田さん、よろしくお願いいたしますっ!
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