リレーコラムについて

会社をやめるとき

照井晶博

会社をやめるときは、必要な手順をふむ。

2004年に博報堂をやめるとき、ぼくも当然、

きちんと手順をふもうと考えた。

まず所属長(チームリーダー)、

つづいて制作局の局長、そして役員、というように。

最初の上司である宮崎さんにも

きちんと報告しなくてはいけないし、

順番というのも組織においてはかなり大事だ。

そこでぼくはトレーナーであった谷山さんに

まず報告することにした。

谷山さんはとても親身に話を聞いてくれて、

上司にはこれからなのでしばらく内緒でお願いします

と言うと、力強くうなずいてくれた。

 

数日後。席で仕事していると、

ケータイに知らない番号から電話がかかってきた。

「シンガタの佐々木ですけど…」

え!!!

佐々木宏!!!

有名な佐々木さんがどうして

ぼくなんかの番号を知ってるんだ?

という冷静な疑問が浮かぶ前に、

えーーー!!!なんでなんで!!!と、

とにかく驚いたことをはっきり覚えている。

「谷山に聞いたんだけど、やめるんだって?」

え…谷山に聞いた?

え?

ええええ!!!!

軽くパニくったぼくにお構いなく佐々木さんは続ける。

「いま◯◯◯◯◯◯の仕事で、

◯◯◯をつくろうと思ってるんですけど、

やめたらすぐそれやってくれない?」

 

電話を切ったあと、ちょっとぼーっとしたと思う。

佐々木宏さんから仕事をお願いされた。

なんて光栄なことだろう…。

 

あ……いや、ちょっと待った。

谷山さん、もうしゃべってるよ!!!

会社でふむべき必要な手順をまだふみきっていないのに。

 

落ち着いてから、谷山さんに電話した。

「谷山さん、さっきシンガタの佐々木さんから電話があって…」

「あ、仕事でしょ?よかったね!」

なんか喜んでいる。ありがたい。

いや、でも、ちょっと違う気もするぞ…。

「あの…谷山さん、しばらく内緒でってお願いしたはずじゃ…」

という言葉にかぶせ気味に、谷山さんはキリッと言い切った。

「いや、こういう話はしゃべるよ!!!」

 

 

結局、佐々木さんにお願いされた仕事は、

それ自体がなくなってしまった。

でも、佐々木さんとはそれからいまに至るまで、

ずっと途切れずに続いている。

谷山さんにはだから感謝しかない。

 

 

このエピソードからもわかる通り、

谷山さんはとにかく、

思ったことは全部しゃべる。わーっとしゃべる。笑

 

そんな谷山さんが、11月22日の夜、

井村さん大貫さんを前に、

おとなしく進行役や聞き役に徹しきれるのか?

 

なんとなく想像はつくし、

そういうことでいいんじゃないかとも思う。

 

 

 

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井村光明(TCCグランプリ)×大貫卓也(ADCグランプリ)

特別トークイベント「Advertising is Copy?」(司会:谷山雅計)

11月22日(木)18時半〜 宣伝会議セミナールーム

参加費:1,500円(発売方法については週明け発表です)

 

みなさん、ぜひ!!

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一週間ありがとうございました。

来週は、富士火災のウェブムービーその他で

今年新人賞を受賞した

TBWA\HAKUHODOの春日井智子さんです。

まだ一度もしゃべったことはないのですが、

春日井さんがとてもおもしろい文章を書く人であることは

なぜかちょっと知っています。

 

 

 

 

 

NO
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名前
5719 2024.07.12 吉兼啓介 短くても大丈夫
5718 2024.07.11 吉兼啓介 オールド・シネマ・パラダイス
5717 2024.07.10 吉兼啓介 チーウン・タイシー
5716 2024.07.09 吉兼啓介 吉兼睦子は静かに暮らしたい
5715 2024.07.08 吉兼啓介 いや、キャビンだよ!
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