名前のない感情
ときどき昔の失敗をふいに思い出す。
なんの脈絡もなく、
すぐにゴメンと言えなかった
あの瞬間を思い出して
胸の底の砂地を
後悔の残骸が引き摺られて跡を残す。
独り言のようにゴメンといくらつぶやいても
それはなかなか消えてくれない。
言わなくていいことを言ってしまったりして
誰かを不用意に傷つけてしまったことがほとんどだ。
跡を時間が消してくれるまで
後悔の気持ち悪さに耐えるしかない。
ひとことも喋らなきゃよかった。
出かけなきゃよかった。
そんなことだらけだ。
年を重ねるとこういうことに鈍くなる気もする。
そうじゃないと耐えられないくらいの数と量になるからか。
それがいいことなのか
残念なことなのかはわからない。
この感情とか感覚って
どこかで誰かが言葉にしたり名前をつけたりしているのだろうか。
きっと平安時代とかにもう言葉になってたりして。
名前のない感情についてときどき考える。