恵まれている人
わたしは、恵まれていると思う。
名前が恵だからなのか、とにかく恵まれている。
ごく普通の家庭で育ち、青春をエンジョイしすぎてしまい、1浪で大学に入学。
なんとか広告業界に滑り込み、新卒でメディアに配属されるも転局試験をうけて、やっとこさクリエイティブに。
コピーライターを名乗るようになってからも、ずっとバタバタともがきつづけ、気がつけばもう10年以上経っている。
そんなわたしがいったい何に恵まれているのか?
それは、人、です。
わたしは周りの人、出会う人に本当に恵まれているなと思う。
自分自身には誇れる才能も、能力もないけれど、
友達や同僚の事になると、自慢したいことがいくつも出てくる。
学生時代、社会人と、それぞれのコミュニティで
ずっと長く続いているつきあいがあって、
人生の半分以上を一緒に過ごしている人もいる。
わたしは趣味でよさこい踊りの活動もしているのだが、
その仲間とは、チームメンバーの葬式では毎回よさこいを踊ろうと約束している。
だんだん踊る人が減っていくので、最後の方はどうなるのだろうと思うが、約束しているので、
たぶん死ぬまでのつきあいになるだろう。
ハーバード大学のとある研究によると、人間の幸福度を高めるものは、
年収、学歴、職業やステータスではなく、いい人間関係だといわれている。
友人の人数は関係なく、たった一人でも心から信頼できる人がいるかどうかが重要だそうだ。
しかも、いい人間関係は健康にも寄与するらしく、信頼できる人がそばにいる状況では、
緊張がほどけて脳が健康に保たれ、心身の苦痛がやわらげられる効果があるという。
人間関係って、すごい。
この研究結果が紹介された記事を読んだとき、わたしって幸せなんだ、
よかったと一瞬思ったが、
いや、待て待て。
では、なぜわたしは、息子(5歳)の前で、もう働きたくないと思わずつぶやいてしまい、
ママ、それだと好きなものが買えなくなるよ。もう一度考えたら。
と、至極まっとうなアドバイスを受けているんだ。
果たしてわたしは本当に幸せなのか。
混乱したまま記事を読み進めると、後半で、こうも書いてあった。
ネガティブ思考の時に、無理矢理ポジティブになろうとするのは逆効果だと。
「バックファイア効果」と呼ばれるもので、一度わいてしまった不安やネガティブな感情を
ムリにポジティブに捉えようとすると脳が混乱し、オーバーヒートのような状態になってしまうのだという。
まずはネガティブな感情を認めること。
そして、ポジティブな態度を習慣化すると、
脳が「あれ?なんか最近こいつポジティブだな?」と認識し、
結果的にポジティブ思考になっていくらしい。
思考を変えるには、行動から。
たとえば笑顔になるだけでも効果は抜群らしい。
人生いろいろあるけれど、うまくいくことばかりじゃないけど、
わたしには恵まれているものも、たくさんある。
そう思って、まずは口角をあげておこう。
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このリレーコラムも心優しい会社の後輩・加部君に恵まれて、バトンを受け取りました。
東急エージェンシーの伊藤恵と申します。
アイシアの「SNS映えする仕草は、SOSの仕草だった。」で2018年に新人賞をいただき、
翌年出産→育休→復帰をして、気がつけば息子はもう5歳。来年小学生です。
年をとってから感じる時の流れの速さは、本当に恐ろしいものがありますね。
ということで、1週間もあっという間の時間かもしれませんが、
これからどうぞよろしくお願いします!