リレーコラムについて

打合せ焼け

石下佳奈子

今から10年以上も前のこと。

その打ち合わせは、
いつもの通り、深夜24時から始まり、
いつもの通り、雑談、案出し、雑談、方向転換、雑談、企画の詰めと続き
いつもの通り、まぶしい朝日が昇る時刻に。

いつもと違っていたのは、
その打合せが、お昼過ぎまで続いたことくらい。
時代とはいえ、約12時間にもおよぶ長い長ーい打ち合わせ。

そしてふらふらと家に帰り、
いつもの通りぬるいシャワーを浴び
真っ白なベッドに包まれ、泥のように眠る。

そして、まだまだ眠りたい気持ちに鞭を打ち、
起きて家の鏡を覗き込んで、
一瞬で目が覚めました。

・・・!!!!

・・・顔の左半分だけが、黒い。

その黒さが、不健康な黒さじゃない。
むしろ、屋外の部活動にいそしむ真夏の学生のような、
それはそれは健康的な黒さ。

そう、顔の左側だけ、日焼けをしていたのです。

落ち着け、私。

記憶を辿ろう。

そうだ、昨日は夜中からずっと会議室で打ち合わせをしていたんだ。

そして朝になって、打ち合わせが終わるお昼まで
ずっと私は、
ずっと私は、


・・・いちばん窓際に座っていた。


左側から、まぶしいほどの直射日光が差す席に。


それからしばらくの間、
「その顔、どうしたの・・・?」といろんな人に笑われたり心配されつつ
「打合せ焼けです!」と開き直ってネタにしていました。


いまだに、顔の左側だけそばかすが多いのは
その打合せの名残かもしれません。


気をつけよう、会議室の座る位置。

 

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