絵コンテは、効率が悪うござゐます。
才能ある若きコピーライター、
CMプランナーの皆様へ。
もし、貴方様が
CM企画をなさる際は、くれぐれも
絵コンテなどと云う時代遅れで効率の悪い方法を
とらぬやう御忠告申し上げます。
当世の流行りは、何と言っても
統合コミュニケーション。
キャンペーン全体をアーキテクトすることが
何より肝要なので御座います。
一々絵コンテなどと云うものに拘るは、愚の骨頂。
MacBookやKeynoteでプレゼンするのが当たり前の
当節にあっては、写真やリファレンス映像も
貼り付けられぬ絵コンテ等と云う物は、
百害あって一利無しの化石物なので御座います。
時折、以下のように
絵コンテの有用性を説く不届き者がおりますが、
まさに噴飯物。
“絵コンテの良い所は、一度紙の上で
「撮影」と「編集」ができるところです。
こんなカットはどうだろう。
いや、このアングルの方が伝わるかもしれない。
そんな風に話し合いながら、紙の上で
色々なシーンを撮影できるところです。
紙の上だから、天候も予算も関係ない。
思う存分、自由に撮影できます。
そして沢山撮影したら、その「映像」を
マック上に並べて、「編集」していくのです。
あ、もしかして、このコマとセリフ
全部省略できるんじゃない? あ、本当だ!
じゃあ、いっそ取っちゃおうか。
あれ、取ったら、もっと伝わるようになったぞ。
そうか、実はこの企画の肝は、こっちのカット
だったんだ。じゃあストーリー全体を
このカットとセリフを中心に作り変えちゃおう。
なんて具合に、紙の上の「現場」でアイデアが
どんどん生き物のように育っていくのです。
例えその後、その絵コンテが演出家の手によって
丸っきり変わってしまったとしても、それはOK。
むしろウェルカム!重要なのは、一度ちゃんと
自分たちで「見えておく」こと。
一度山頂まで登っておけば、実際に映像をつくる
演出家が、全然違うルートで登ろうとしても、
更なる高みを目指そうとしても、
どうぞどうぞ、ぜひ自由にやってください!
と自信を持って言えるのです。だって
一度ちゃんと、自分の足で登ってるんですから。
なので僕は、若い制作者たちが
マック上でちょちょっと文章を書いて
それっぽい写真を横に貼るだけの「コンテ」を
作ってしまう事が、凄く勿体無い気がするのです。
ああ、そこから先の試行錯誤が一番面白いし、
沢山の発見が埋まっている所なのに〜!!!
と思ってしまうんですよね”
嗚呼、何と云う、時代錯誤で的外れな先輩風。
聞いてゐる此方の方が恥ずかしくなります。
当節の、若き思慮深いコピーライター、
CMプランナーの皆々様に於かれましては
ゆめゆめ真似なさらぬ様、お願い申し上げます。
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