花火職人は、エゴサしない。
8月なので、夏の風物詩が入り口のお話をしようと思います。
コロナ前ですが、隅田川か江戸川だったか、伝統のあるお祭りで、何発も大きく打ち上がる花火を見ていた時です。
ボクも含めた、周りの人はみな口々に
「うわー」
「おおー!」
「キレ〜イ」
「スゲー」
と呟きながら、見惚れていました。
そんな時、ふとボクはあることに気づきました。
この「おおー」「スゲー」というボクらのリアクション、
いま花火を上げてる職人さんには全然見えてないんだな。
と。
花火職人さんは、自分の花火を観ている人の反応を全く確認せずに、淡々と目の前の花火を美しく打ち上げることだけに集中できる人たちなのか…
と。
打ち終えた後に「隅田川 花火」とか「江戸川 花火 きれい」とかエゴサしないの…?
うん、しないよな…
と。
そういえば、家族で年に何度か行くようなフレンチのシェフも、自分の料理が口へ運ばれる瞬間やその反応を柱の影から見てニヤついたりせず、ただ黙々と厨房で作り続けているじゃないか…
と。
自分の携わった広告がローンチされると反応が気になってSNSでエゴサしたり、YouTubeのコメントを穴が空くほど読み込んだりする自分には信じられない。
なんと潔くてカッコいい態度なんだ…?
と。
ひょんな気づきから、花火大会でめちゃめちゃ自分とかけ離れた姿勢で仕事している人を見つけて感銘を受けてしまったわけなのですが、
これはつまり、
「職人」は自分の中にあるゴールへと走っていくことで他人を喜ばせる人、ということなのでしょうか。
ボクら「広告」は受け手の人の反応に敏感でなければなりません。
それでも企画をしてたり、撮影をしてたり、編集をしてたり、様々な場面で「自分の中にあるゴールに走っていかなければいけない」瞬間が何度も訪れるわけで、
そうであれば、例えばこの先、CMの本編集を終えて納品した段階で「ふぅ、完璧に自分の目指していたものができちまった。あとは世の中に届けるだけだ。結果や反応…?見るまでもないね。満足しているクライアントと世の中の姿がもう浮かんでるんだから。お疲れ様で・し・た。あ、かおたんラーメンでも行きます?」
…までは大袈裟としても、「『職人』としての自分を信じられる、自分」も育てていきたいなー、いかなきゃなー。
とか、しょうもないことを考えてしまうのでした。
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以上、1週間を担当させて頂きました、髙木でした。
次回は同じ会社で同じ部署、同期入会の河内大輝くんが担当です。
コラムをお願いした時「やります!」と言いながらも、目が泳ぎまくっていた気もしますが、とても楽しみです。
(受賞作の「マスメディアン」を筆頭に、いろんな「面白い」の球種をもっている博報堂の超期待のCMプラナーなので!)
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