リレーコラムについて

造山力

山口慶子

エベレストか八ヶ岳か、片付け途中の部屋には、白い山が連なっていた。
あと少しで書類の山脈が、山になり、小山になりそうだ。

 

山の中にはパンフレット類なども紛れています。
挟まっていた大判リーフレットを引き抜くと期待通りの雪崩が発生。
根気よく整えながら確認すると、
リーフの表紙には石井先生の笑顔とサインがありました。

今まで最も多く行ったのがロス、次が北京とKLと台北、
その次がボストンでした。MITメディアラボです。
初回訪問は、大昔TCC新人賞を頂いてすぐの頃でしたが、
目からうろこが落ちる体験をしました。

研究しているメディアラボの学生さんたちとランチの時、
「服って、そのものがあったかくなると効率がいいよね」
「繊維に○○を仕込めばできるんじゃないか」
「電池はどうする?」

「映像が紙で出てきたら軽くていいよね」
「インクでできるんじゃないかな」
「ドットを動かす回路を…」

そのランチの会話は、その後の自分の志向を変えました。

「未来はここでつくられている」

自分の仕事に当てはめると、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、
決まったフレームに入れるものがクリエーティブではなく、
フレームそのものをつくるのがクリエーティブなんだと確信しました。
その後、しばらくしてからiphoneが発売になり、SNSが登場し
本当にフレームが大きく変わるのですが。

 

造山力。

 

これは、石井先生の3つのことばのひとつです。
なぜ山に登るのかと聞かれた登山家は、そこに山があるから、と答えます。
先生のことばは、「山を自らつくり、その山に登る。」ことを意味します。
つまり、登るべき山をつくるチカラを持て、という教えでした。

日本ではじめてハッカソンをMITのメンバーとファシリテートした時は、
様々な企業の方々が垣根を越えてつながることで
新しいものが生まれる感覚を持ちました。

先日、サポーターボランティアをさせて頂いた「ほぼ日の學校」も
参加親子がそれぞれの山をつくっていく感覚を持ちました。
ほぼ日の學校自体も、ほぼ日の存在も、見事な山に思えました。

今、日本全国のお城をキャラクターでつなげて、
未来に向けたプロジェクトにしたいと会社で妄想しています。
戦いの象徴を思いやりの象徴に転換できないかと。
小さな山ですが、つくりはじめたので大きな山にしていけたら。

頭の回転は、MITの皆さんに追いつけませんが、
手足の回転は、フルスロットルでまず足元の部屋の山を減らしてから
妄想を山にしていきます。

コラムをはじめてから嘘のように片付きゴールが見えてきました。
あと1日おつきあいください!

NO
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